男のその一言で私の心臓は強く脈打った。そして、徐々に全身の血の気が引いていくのを感じた。

「じ…じゃあ…」

「そうだ。サユ、お前の父親は父さんじゃない。…母さんを強姦したその男だ。お前は殺人犯の妹で強姦魔の娘なんだよ…」

…この男は一体何の作り話をしているのだろう?冗談にしてはタチが悪すぎる…

「なぁサユ、よく考えたらおかしいだろ?息子が殺人を犯して施設に居るような大変な時期に子供なんか作るか?ただでさえ被害者遺族への賠償金払うのに精一杯なのに2人目なんか産んだら経済的に苦しくなる一方だろ。何のメリットもねぇよ。」

…いつまでこんなデタラメを言い続けるのだろう?そんな話私が信じるわけないのに…

「全く…俺があの事件を起こさなきゃお前は生まれてなかったってのに…俺に死ねなんてよく言えるよなぁ。…ハハハ、すげぇ顔して睨んでるなぁサユ、父親にそっくりだぜ…」

「ぅわああああああっ!!!!」

私はもはや平静を保つことなどできなかった。男を壁際に追いやり、拳で1発男の腹を殴った。