「……え?」

男の言っている意味が全く理解できない。
戸惑う私を嘲笑いながら男は続ける。

「俺が少年Aになった日から父さんと母さんは無言電話とか中傷ビラとか色んな嫌がらせを受けた。窓ガラスを割られたり家に落書きもされたらしい。まぁ、こんな事は殺人犯の家族にありがちな話だが…事件も風化しつつあった、俺が小学5年の時、『とある事件』が起こったんだよ。」

ニヤニヤと笑いながら語っていた男は突然私の耳元に顔を近づけた。
この時男を突き飛ばしてでも逃げなかった事を、私は後悔する事になる。
男は私の耳元で静かに囁いた。








「母さんがレイプされたんだ。少年Aの母親だからっていう理由でな。」