「ねえお兄ちゃん、これ全部芝居なんだよね?!そうやって私に幻滅させて縁切ろうとしてるんだよね?私達家族に迷惑かけないようにとか考えてるんでしょ?!…そんなの全然嬉しくないよ!だからお兄ちゃん、もう自分を犠牲にするのは…」

「プッ……ギャハハハハハハッ…!俺がいつ自分を犠牲にしたって?俺はいつだってやりたい事をやってきた。むしろ他人を犠牲にしまくってるくらいだ。いい加減俺に善人フィルターかけるのやめろよ?」

もはや何を言っても私の言葉はお兄ちゃんに届かなかった。いや、私の大好きなお兄ちゃんはそこにはいなかったと言った方が良いだろうか。でも…私にはどうしても理解できなかった。だってお兄ちゃんは…

「じゃあ…なんであの時庇ってくれたの?」

「は?」

「私が幼稚園の時、轢かれそうになった私をお兄ちゃん助けてくれたよね?人殺しをしたいなんて人が自分を犠牲にしてまで人を守るの?!」

私が問い詰めると、お兄ちゃんは黙り込んだ。
やっぱり…わざと私に嫌われようとしていたのだろうか。一瞬そう思った。が、

「あれはさぁ、俺自身を実験台にしてみただけだよ?」