あのメッセージを送った3日後、既読が付き、お兄ちゃんから返信が来た。

『分かった。じゃあ土曜の18時に駅前のカラオケで待ってる。父さん達には内緒な。それが無理なら会えない。』

前のような明るい感じは無く、素っ気無い文章だったけど、私はお兄ちゃんからの返信、そしてお兄ちゃんに会える事が嬉しかった。

そして土曜日、私はお父さん達には買い物に行くと嘘をついて出かける準備をした。
私が支度を終えて靴を履いていると、

「へぇ〜。犯罪者の妹のクセに出歩けるんだ。ついでにここ出てってくれたら嬉しいんだけど?」

トイレから出てきたジュリネがわざわざこっちに来て嫌味を言ってきた。が、私はそれを無視して家を出た。

お兄ちゃん…
お兄ちゃん…
お兄ちゃん…

やっとお兄ちゃんに会える…
大好きなお兄ちゃんに…!

私は急ぎ足で駅前に向かった。

私が知ってたお兄ちゃんじゃなくていい。
少年Aでいい。
殺人犯でいい。
誰が何と言おうとお兄ちゃんは弱い者を守ったんだ…
たとえそれが許されない方法だったとしても…
私だけは一生お兄ちゃんの味方でいるんだ…!


『一生お兄ちゃんの味方でいる』
この時の誓いがすぐに砕け散る事を、私はまだ知らなかった。これから待ち受ける残酷な出来事も…。