私とリサがそんなやりとりをしていると、コンコンとドアがノックされた。
お母さんかな?と思った私はどうぞーと軽い口調で言った。

「サユ、勉強頑張ってるか?…あ、リサちゃんこんにちは。」

ドアが開いて入ってきたのはお母さんではなくお兄ちゃんだった。
片手にお菓子の入った皿を抱えている。
リサはお兄ちゃんに軽く会釈をすると、すぐに視線を私の方に戻した。

「!!お兄ちゃん、それ!それって私たちのおやつ?!」

私は立ち上がるとお兄ちゃんの側へ駆け寄った。

「そうそう。はいよ。」

お兄ちゃんから受け取ったお菓子は、お母さんの手作りのパウンドケーキだ。

「わーい!おやつだおやつ!ねえリサおやつだよ!」

「ちょ、サユ テンション高すぎ!お兄さんありがとうございます。」

「いえいえ。サユ、それ食べるなら勉強もしっかりやるようにって母さんが言ってたぞ。」

お兄ちゃんに言われてぎくっとした私は静かにはーいと呟いた。

「じゃあ、俺はこれで。」

そう言ってお兄ちゃんは出て行った。