「それだけで感動しちゃった」 「そう、ですか……」 「花本さんもありがとう」 あの時。旧校舎の音楽室でリキと先輩の姿を見たとき、地味で大人しそうな人だと思った。 話をするようになってからも、穏やかな反面鈍臭さも感じて、印象はたいして変わらなかったのに。 今日、はじめて──、 この先輩が可愛いと思った。