はじめてなつを抱いたたった一回の幸せな夜…。

あれ以来、俺はまたなつに手が出せないでいる。

あの一回の行為で、なつは新たな命を授かった。

またしばらく俺の煩悩を押さえ込む生活が続いている。

まぁ安定期まであと少しの辛抱だ。

大好きななつが側にいるのだから俺はいつまでだって辛抱できる。

「片瀬さん、よかったですね」

香田が目を細めて俺たちを見て微笑んだ。

「だからーっ!
その顔、なつにむけるな!

人のかみさんたらしこむな!

お前が笑うとなつが顔を赤くするんだ!

お前は明莉ちゃんにだけデレてろ!」


「はぁ!?

自分はさんざん明莉をからかっていじめてたくせに…。

納得いかないけど…やっといつもの片瀬さんに戻ってくれましたよね。

よかった。

二人で幸せになってくださいね」

「…二人じゃない、三人だ」