「どうして…｣

思わず抱き締めたなつは俺が現れたことに動揺していた。

なつに会うために久しぶりに帰った家は、綺麗に片付き、空っぽのひと部屋がすぐに俺の目に飛び込んだ。

慌ててかけたなつの携帯は、もうこの番号は使われていないというアナウンスが繰り返し流れていた。

呆然と立ち尽くしていた俺の携帯が鳴ったのはそんな時だった。

香田からの電話にイラつきながらでると
『なつさんが今来てます。
引き留めておくので早く戻ってきてくたざい。
鍵を開けておきますから、気づかれないようにそっと入って来てください』

すっ飛ばして帰ってきた俺が耳にしたのは香田の

『片瀬さんのこと好きですか？』

というなつへの問いかけだった。