浮気な彼と恋のマジックドライビング

「それから…この通帳も渡してほしいの。

一緒に住みはじめてから給料のほとんど、ボーナスなんて全部私によこしてくれて。

私は生活費は半分にしようって言ったのにまるで聞かなくて。

これ…いままで彼が私に渡してくれていたお金がここに全部預けてあるの」

「…使わなかったんですか?」

「うん…。
一緒に住んで私の居場所を作ってくれただけで十分だったから。

彼を解放するときに全部返そうと思ってたの。

…もしも…

私たちの関係が変わることがあったなら、その時は私たちのために使おうと思って」

差し出した通帳と印鑑、この中には八年分の彼が私に渡してくれたお金が…中古の家なら一軒買えるくらいの額が貯まっていた。