浮気な彼と恋のマジックドライビング

うつむいた私に

「何が入っているのか聞いてもいいですか?」

優しく語りかける香田くんに、泣かないようにぎゅっと固く拳を握っていた手の力を緩めて封筒に手を伸ばして中身を取り出した。


「部屋の鍵なの。

もう引っ越しは終わっていて、終わったら連絡してくれって言われてるんだけど、もう柊とやり取りはしたくないからこれを渡して引っ越したことを伝えてほしいの…。

私たちのことに巻き込むようでこんなお願いをして本当にごめんなさい」

私は目の前の二人に深々と頭を下げた。