そんなことをなつかしく思い出しながら、恐る恐るインターホンを押すと

『はい』

と可愛らしい女性の声が応答した。

その声を聞いて、ひと月ほど前に香田くんが結婚したと柊が話していたことを思い出す。

「あの…私高山夏生といいます。

香田さんに柊…えっと…片瀬さんのことでお願いがあって伺ったんですけど、香田さんはご在宅ですか?」

「……」

数秒沈黙したあと勢いよく扉が開けられ、目の前には彼女がたぶん香田くんの奥さんなのだろう、可愛らしい女性が目を丸くして驚いた顔をしてたっていた。