このマンションには、何度か柊と一緒に遊びに来たことがあった。

柊の会社の後輩の香田くんは弟と二人暮らしをしていて、台所をかりて夕飯を作ったことがある。

はじめは無愛想で取っつきにくい男の子だと思っていたが、優しい目をして笑う彼は、柊と同じくらい端整な顔をしたイケメンで、不覚にも笑顔を向けられる度に心臓が飛び跳ねた。

そんな私に気がついた柊は、香田くんにわざと意地悪をして、だから私は謝罪の気持ちをこめていつも夕飯をもう一品多く作っていた。

男の人は柊以外は苦手だったけれど、彼と打ち解けて仲良くなるのにそれほど時間はかからなかった。