「早く出ていってくださいよ?
はぁぁ。
ったく、どうしたら新婚家庭に転がり込もうっていう発想になるんだよ」

ため息をつきながらも苦笑いする香田は、俺がしばらく泊まることを渋々明莉ちゃんは快く承知してくれた。

「なんかそんな捨て犬みたいな顔してる片瀬さんは片瀬さんじゃないですよ。
なつさんと早く仲直りしてくださいよ」

「いや…たぶん…もう無理かも…」

肩をおとした俺はわかりやすく落ち込んでいた。

ようやく八年かけてなつとの距離を縮めたところだった。

手を繋いで同じベットで眠る。

抱き締めたいしもっともっと彼女に触れたくて、毎晩暴走しそうな自分を我ながらよく必死で我慢できたと思う。