浮気な彼と恋のマジックドライビング

「はぁ」

手を繋いだまま柊は無言になって私を引っ張るような形で歩き始めた。

居心地が悪くて

「あの…柊…岩波さんと終わったら一緒にどこか行くんじゃ…」

と言いかけて慌てて口をつぐむ。

これじゃずっと柊のこと気にして会話を盗み聞きしてたことがバレてしまう。

少し前を歩いていた柊が歩くスピードを弛め、繋いでいる手に少し力が加わった。

「行くわけないだろ。

そういうなつこそ俺…さっき邪魔したか?

安間に迫られてたよな。

なつに触ろうとしたから思わず出ていって触るなって店から連れ出しちゃっだけど…

アイツと…」

言い淀む柊が何かを探るような目で私を見つめた。