高校を卒業してから仲のよかった私たち三年三組は、毎年クラス会を開いていた。

二十四を過ぎた頃から、既婚者が増え初めて、小さな子供を抱えた女性陣の欠席者は年々増えていっていた。

それでも、二十八を迎えた今回は担任の先生が定年を迎えたお疲れ様会も兼ねたので久しぶりにほぼ全員が出席していた。

そんな女性陣の注目の的になっていたのは…昔とかわらない…ううん、それ以上に男の色気を漂わせ男らしくなってイケメンに磨きがかった柊だった。

「片瀬って相変わらずいい男だよねぇ」

「まだ独身なんでしょ?」

柊をチラチラ見ながら女の子のグループからそんな声が囁かれているのが私の耳にも漏れ聞こえてくる。

「…あいかわらず人気あるね夏生のダーリンは」

「しーっ!」

声を潜めて話しかけてきた中学からの友人、遥の言葉を遮り口許に人差し指を立てた。

私と柊が二十歳から一緒に暮らしていることは遥しか知らない。

「でもさぁ、ずっと同棲してる彼女がいるんだよね、確か」

「そうなんだよねぇ。

高校の時にはあんなにコクられてたのに誰とも付き合わなかったのにねぇ。

いったいどんな美人が片瀬のハートを射止めたんだろうね」


そんな会話まで耳に入り、遥がクスクス笑いながら私のことを肘でつついた。

「ここにいる美人が射止めてるんだよねぇ、夏生?」

「だからぁ違うってば。

同棲じゃなくて同居なの!」

からかうような遥の視線が恥ずかしくて、少し赤くなってしまった顔を誤魔化すように、手にしていたビールを口に運んだ。