すぅ、と彼が息を吸う。 「――泣くなーーーーーっ!!!!!」 びくり、肩が震えた。……突然叫ばないでよ。 風が巻き起こり、葉をなくしてしまった木々が震え、悲鳴をあげ騒ぎ……ひとびとが、なんだなんだと振り返る。 「な?これが、奇跡」 ……嘘。 「奇跡は起きるよ。起こせば、起きる」 ウソ。うそ。 意味わかんないよ。 「父さんと母さんにも、奇跡をみせてやる」 腕に込められた力に、安心して息を吐き出した。 白い息がこぼれる。