ただ。 ただね、冬になると顔を真っ赤にしているところなんかは、可愛いと感じるの。 「……寒くねぇの?」 ずび、と鼻を啜り、彼は振り向いた。 風がびゅんと吹く。 遠かった、手が届かないほどの空間を埋めようと、1歩近づく。 「黙ってんなよな」 一瞬意味がわからなくなって混乱するような日本語をつかい、彼はまた歩み始めてしまった。