響は笑った。

月に照らされたその顔はなんとも言えないぐらいカッコよかった。

あたしをお姫様だっこし、ベランダから飛び降りた。

降ろしてもらうと、響と手を繋いで走った。

「どこにいくつもり?」

「誰もいないとこ」

港まで走ると西宮さんがいた。

「お坊っちゃま、もう時間がありません」

「ああ、分かってる」

連れられるがままに船に乗った。

「西宮、あとは頼んだ」

「はい」

そして、船は動き出した。