あたしは黙りこんだ。

嫌だったから。

響と離れないって決めたんだから。

「あなた、響のために残りたいとか思ってるんじゃないんでしょうね?庶民と恋すると苦労しかしなの」

お母さんは悲しそうな顔をした。

「……あの子にはあんな思いしてほしくないの」

心からの願いに聞こえた。

「分かりました。右京家に行きます」

「くれぐれも響には言わないこと。いいわね?」

「…はい」

あたしは部屋を出た。

走って本館を出ると西宮さんが待っていてくれた。

「華さん……」

あたしは泣いていることに気づいた。

「どうされたのですか?」

「……右京くんの専属メイドになるんです」

西宮さんはあたしの頭を撫でてくれた。

「明日の夜、出ていきます…お世話になりました」