それからは響と普通に接した。

響もキスとかしてこなくなった。

これでいいんだ。

そう思っていた。

そんなあたしに、人生の決断する日が来た。

トントン。

「華さん、奥様がお呼びです」

え!?

「…言葉選びにお気をつけて下さいね」

西宮さんの言う通りだ。

絶対に怒らせちゃいけない。

だけど、何で呼び出されたんだろう。

案内されたのは本館の客間だった。

「あなたたちは退室して」

メイドや執事にそう言うと、出ていってしまった。

「単刀直入に言うわ。あなたは右京家のメイドになりなさい」

へ?

「右京の御曹司の専属メイドよ」

右京くんの?

「…なぜですか?」

「私は響に変な虫が付かないようにしてきた。それなのにあの人はあなたみたいな庶民を響の専属メイドにした」

お、怒ってる……。

「だから、私、右京家にお願いしたの。うちのメイドを雇ってくれないかって」

嘘でしょ!?

「快く了承してくれたわ。だから、明日中に右京家に行きなさい。いいわね?」

行きたくない。