それにこの指輪ってそういうためのやつだったんだ。

なぜか悲しくなる。

そうだよ。

響は御曹司だから、冷泉さんみたいな人と結婚するんだ。

いわゆる政略結婚ってやつ?

やだな。

こんなこと言う資格ないって分かってても嫌なものは嫌。

あたしって意外に響のこと、好きだったんだな。

「響!どこ行ってたの?探したよ?」

冷泉さんは響のこと大好きなんだよね。

「またその子と一緒なんだ」

「俺の勝手だろ」

「響は私と結婚するんだって、おばさんが言ってたよ?」

やっぱりそうなんだ。

「俺は母さんの言うことは聞かない」

「いいの?私たちの家の関係が悪くなっても」

「別に構わない。ちゃんと好きになった人と結婚できないんなら藤堂家を継がない」

バタン!

二人が言い合っている中、違うオーラを放つ女の人が入ってきた。

強気な感じとか、ちょっと響に似てる。

「あら、響はあたしの言うことが聞けないのね」

「母さん……」

響のお母さん!?