びっくりした私だったけど、真城くんは王子様モードで、
「ハルトくんが悲しみますから、浮気はダメですよ?」
そう言ってニッコリ笑うと、
女の子2人は照れたように「そうですよね!」と言って、私にもペコリとお辞儀して去っていった。
それを口をあんぐりと開けて見ていた私。
そんな私に気づいた真城くんは面白そうに笑ったあと、
「…真城くんが悲しみますから、浮気はダメですよ?」
そんなふうにさっきの言葉に重ねて冗談を言ってきた。
そのあと、優しく、手を繋いできた。
「しないです!ハルトくんは推しです!」
そう力強く訴えると、「はいはい」と軽くあしらわれるし。
それでも、やっぱり、楽しくて。
向こうのほうから、係のお兄さんが拡声器で
「ただいまより開場致します!」
と言っているのを聞いて、
それを皮切りにファンの方々が会場の方へどんどん吸い込まれていく。
「真城くん、ちょっと待っててね」
そう言って鞄からチケットを2枚取り出して、
「今からこのチケットで抽選形式で席が決まるの!」
そうキリッと言ったのに、「へぇ」と薄い反応の真城くん。
まぁ、気にしないんですけどね!



