そうして、放課後になって2人で帰る。

私たちに、会話はない。

なんだか、彼も何かを感じているみたいに思う。

もう少しで、私の家が見える、それくらいになって私は話を切り出した。


「……真城くんって、なんで私と付き合ってくれてるの?」

急に始まった話に彼が驚いていないのは、もう分かっているのかな。 

「好きだからに決まってるでしょ」

私の方をちらりと見ながら、そう答えてくれる彼。

いつもなら、凄く喜ぶところ。
とっても、嬉しい言葉のはずなのに。


私の目には、涙が浮かんできた。

彼の言葉を、信じられないんだ。
自信のない私には、本当だと思えない。

急に泣き出した私に、

「えっ、桜、どうしたの、」

と、慌て出す真城くん。

その優しさが間違いなく好きなのに、
私には、その好きを言う自信が無いんだ。

だから、真城くん。


「……ごめんね、真城くん」


  
         別れよう


私のその言葉を聞くや否や、彼の顔から表情が抜け落ちた。

「……え、待って…どういうこと、俺のこと嫌いになった?」

「…嫌なことしたなら、改めるから……桜、」


いつだったか、あぁ、この前のデートか。
彼の一人称が『俺』に変わるのは、確か感情が昂ったときだと言っていた気がする。

でももう、そんなの考えられなくて。

泣きながら「ごめんね」しか言えなくて、もう家が目の前に来たときに、とうとう真城くんは、


「わかった」 


一言、そう言って。

真っ直ぐと、彼は帰って行った。


これが、私の望んだ道。

きっと、そうなんだ。そう言い聞かせて、

胸が痛いのは、何かの間違いだと、そうも言い聞かせた。


こうして、私たちは別れた。