月曜日から、またいつもの1週間が始まった。
あのデート以来、心に生まれた不安はどんどん大きくなっていて私を侵食している。
隣の席の、このかっこいい人が、私の彼氏。
相応しくないこと、分かっていたのに実感してしまった。
普通に1日を過ごしていって、お昼休み。
だんだん夏本番が近づいてきていて暑くなってきてるから、私もひなちゃんもなんだかジュースが飲みたくて。
財布を持って
2人で自動販売機に買いに行ったとき。
購買の近く、話していた2人の男女。
まるでカップルかと思うほどにお似合いなその2人を、私は知っている。
1人は、同じクラスで凄く美人で有名な絢子(あやこ)ちゃん。
可愛いのに気取ってなくて、私とも仲良く話してくれる優しい子。
そして、もう1人は…、
「…あいつ、真城じゃね」
気付いたらしいひなちゃんが、小声で呟いた。
そう、真城くん。
真城くんと、絢子ちゃん。
2人で仲良く話してて、真城くんは…
なんか、照れたように笑ってる。
その光景を見たくなくて、思わず俯いた私に、
「あんなの気にしなくていいって」
とひなちゃんが慰めてくれる。
だけど…。
私は顔を上げて、なんとか笑って、言った。
「…私、自信無くて。努力しても、可愛くなれないし。」
その私の言葉を、ひなちゃんはすぐに否定して、
「真城は、桜を可愛いって思うから付き合ってるんでしょ?だから、そのままで良いんだよ」
そうやっていつにも増して優しい声で言ってくれるけど、
私は、静かに首を振って、
「…私、自分のことしか考えられないダメ人間、なんだ。」
「自分が苦しくて仕方なくて、それから逃げたいって、思っちゃう」
前までは、こんなに汚い感情、知らなかった。
かわいい子を妬むみたいな、そんな気持ち。
もう、この心の中にぐるぐると渦巻く感情を止めたくて、無くしたくて。
彼の隣にいることが、辛い。
自分を、どんどん嫌いになる。
もう泣き出しそうな私を見て、ひなちゃんはそれ以上そのことについて言わないでいてくれた。
「…ジュース買って戻ろう」
ひなちゃんの落ち着く声に促されて、ジュースを買って教室に戻る。
あぁ、やっぱり私に恋愛なんてできないんだって、感じた。
こんなにめんどくさい人間、どこにも魅力なんて無いよ。
だから、ハルトくんを推して,その寂しさを紛らわしてきたのかな…。



