男子たちのサッカーが終わって、私たち女子とコートをチェンジするとき、

少し暑そうにしている真城くんは私の元に来て、

「ねぇ、見てた?」

と、私の目を見つめながら聞いてきた。
私の手には、彼に「持ってて」と言われたタオルがある。

私は、彼の首にそのタオルをかけてあげながら、

「…かっこよかったよ、おつかれ」
 

とだけ言って、なんだか恥ずかしくて堪らなくなったから急いで女子たちの待つところへ走って行ってしまった。


後ろで男子たちの「イケメン真城が青春してるぞー」とか聞こえてきたけど、気にしないふり。
   

お昼休み。
私はひなちゃんと2人でゆるーい空気でもぐもぐご飯を食べている。時々、近くの席で食べている女子たちのグループと食べるときもある。

真城くんは、クラスの中でも大所帯で食べてる男子たちのところに無理やり連行されていったのがきっかけで、そこで食べてるみたい。

男子たちが盛り上がって「おい真城ー‼︎」とか言ったときに、思わず条件反射でそちらを向いてしまうと、大概真城くんと目が合って、すぐ逸らしてしまう。
この恥ずかしさに、慣れる日は来るのだろうか……

放課後は、真城くんと一緒に帰る。
もちろん用事があるときは別々で、と話はしてるけど、付き合ってからは毎日帰ってる。
…というか、私ごときがご一緒させていただいてます…。

彼と他愛もない話をして私の家までを歩く。

いつもと変わりないけれど、いつもと違ったことだってある。

「…ねぇ、明日暇?」

不意に真城くんにそう聞かれて、明日、すなわち土曜日の予定を思い出す。


「ばっちり暇です」

そう答えると、真城くんは少し緊張したように、

「…明日さ、一緒に映画観に行かない?その、いわゆるデート、みたいな…」


どうかな?というように私の反応を待っている真城くんに、もちろん私の答えなんて決まってる。


「ぜひ、私なんかで良ければお供させてください!」

そう、力強く返事をしたら真城くんはおかしそうに笑って、

「私なんか、は私だから、の間違い。お供じゃなくて、デート。」

そう言う彼も、なんだか嬉しそうに見えるのは自惚だろうか。気のせいだろうか。


私の家に着いて、
「また明日ね」と、真城くんが帰るのを見送り……たいんだけど、私が家に入るのを見ないと気が済まないらしいので即座に帰宅。

そんな感じの1日。


真城くんとの日常は甘々らしい。

毎日かっこいい彼に、対応しきれません。