待ってよ……待って。
前原くんはきっとまだ、道の途中にいる──。
「実優?」
ふたりに遅れて、立ち尽くしたままの私。
「どうしたの?」と、言わんばかりの声を朱里にかけられて……迷った。
前原くんに終わったことを教えてあげなくちゃって思う。
だけど、もし素直にそれを行動に移したら、朱里や梨花達はどう思う……?
「実優?」
もう一度、今度は梨花に声をかけられて。
「……あ、ごめんっ」
私は咄嗟に朱里達の待つ、帰る方向へとつま先を向けてしまった。
一度そうしてしまったら、もう帰る他ない。
集まった女子達に、適当にバイバイと手を振ってから、朱里と梨花と一緒に神社を出た。
長い階段を下りた先に広がった道は、街灯がきちんと等間隔に設置されていて、明るい。
夜といえど、交通量も普通にあって、車が通り過ぎたりするのを見ると、ホッとした。
だけど、同時にすごく罪悪感。
前原くんは、あの暗闇にひとり……。



