言いたい、言えない、キミが好き。



肝だめしのスタート地点で、ゴールでもある小さな神社。

その中心に私達をはじめ、クラスメートみんなが集まる。


最後のペアが今しがた戻ってきたみたいで、


「えーと、それじゃあ……」


学級委員の男子が、締めの挨拶を始めた。


円形に並ぶ輪の中、私が顔を上げられないのは、この中に田澤くんがいるから。


朱里達にはああ言ったものの、本当は何もなくはなかった。

田澤くんに、告白されてしまった……。


あれから、私の返事を聞かないまま、田澤くんはすぐに歩き出し、どうしたらいいかわからなかった私は、とりあえず黙って後を追いかけた。

会話はあのときだけ。
それからは何も喋っていない。


どうしよう……。

返事はすぐじゃなくていいって言われても、いつどのタイミングで話しかけたらいいのかわからない。

それに、そもそも信じられない。


田澤くんが私を好きだなんて、そんなこと。