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「──実優、実優!」
「え?」
「何してんの、もうみんな戻ってきたって!」
こっちこっちと手招きする朱里と梨花。
さっきまで隣にいたはずなのに……気付くといつの間にか、少し離れた場所から私を呼んでいた。
「あ、うん!」
座っていた石畳みから腰を上げ、ふたりの元へと駆け寄る。
「もー、さっきから何ボーッとしてるの?」
「そういえば、もうあんまり怖がってないよね」
「「もしかして、やっぱり……」」
声を揃え、にたーっと嫌な笑みを浮かべて、私を見るふたり。
「──っ、だから何もないってば!」
何を言わんとしているかわかって、私はふたりの背中を進行方向へと押した。
私が田澤くんとペアだったから、何かあったんじゃないか……って、戻ってきてからそればっかり。



