言いたい、言えない、キミが好き。


***


「──実優、実優!」

「え?」

「何してんの、もうみんな戻ってきたって!」


こっちこっちと手招きする朱里と梨花。

さっきまで隣にいたはずなのに……気付くといつの間にか、少し離れた場所から私を呼んでいた。


「あ、うん!」


座っていた石畳みから腰を上げ、ふたりの元へと駆け寄る。


「もー、さっきから何ボーッとしてるの?」

「そういえば、もうあんまり怖がってないよね」

「「もしかして、やっぱり……」」


声を揃え、にたーっと嫌な笑みを浮かべて、私を見るふたり。


「──っ、だから何もないってば!」


何を言わんとしているかわかって、私はふたりの背中を進行方向へと押した。

私が田澤くんとペアだったから、何かあったんじゃないか……って、戻ってきてからそればっかり。