言いたい、言えない、キミが好き。


「えっ、あのっ……」


掴まれた自分の手と、置き去りになる前原くんを交互に見る。

何で前原くんが?
それに、田澤くんが……。

ただでさえ戸惑って、今の状況を上手く飲み込めない。

それなのに、もっと理解できないことが、この後すぐに起こった。


先を急ぐみたいに進めていた足を、急に止めた田澤くん。

良かった。
手、離してくれるのかな。

そう安心したのもつかの間。


「望月……あのさ」


振り返りながら名前を呼ばれて、ドキッとする。

やっぱり何か気に障ることをしてしまったんじゃないかと身構えた。

だけど、


「実は……わざとなんだ」

「え?」

「望月とペアになったの。7って言ってんのが聞こえて、他の奴に代わってもらったんだ」

「……」


突然、田澤くんが何を言い出したのか、わからなかった。


わざと……。
意図的にあたしとペアになったってこと?

でも、どうして……?


それらしい理由の見当さえつかず、キョトンとした顔で田澤くんを見つめる。

すると、何だか恥ずかしそうに目を逸らし、田澤くんは「あー……」と、声を出した。そして、