「望月……」
小さく私の名前を呼んだ田澤くん。
その次の瞬間。
ガサガサッ!
茂みの中から聞こえた音。そして、
「わっ!」
「きゃあっ!」
何かが飛び出してきて、私は咄嗟に手を伸ばしていた。
しがみついた相手は、田澤くん。
「ごっ、ごめんなさいっ!」
謝りながらも、怖くて離れられない。
今、何か出てきた。
それは間違いなく、私の後ろにいる。
ヘビ?
それとも幽霊⁉︎
確認したいけど、田澤くんのTシャツの袖を掴んだ手は震えていて、私はぎゅっと目を閉じたまま。
すると、私の行動が気に障ったのか、
「お前……」
田澤くんの声がすぐ傍から聞こえた。
「あっ!えとっ……」
怒られる!
そう思った私は、パッと手を離してやっと目を開いた。だけど……。
田澤くんの目は、私に向いてはいなかった。
……え。
じゃあ、誰に対して言ったの?
彼の視線を追って、恐る恐る振り返る。すると、



