言いたい、言えない、キミが好き。



前原くんとの約束の時間は午後2時。

私が家を出たのが1時過ぎと充分早く、先に着くと思っていた……のに。



「あれっ⁉︎」


図書館の入り口でバッタリ出くわした人。

それは他の誰でもない、前原くんだった。


さっき時間を確認したけれど、約束までまだ20分近くもあった。

それなのにどうしてこんなに早く……?

そう疑問に思ったのは、どうやら私だけじゃないみたい。


「早いね」

「うん……って、前原くんこそ!」

「あぁ、うん。そうなんだけど……」


言いながら、私の姿を確認するように見る前原くん。


「もしかして今日、他に用事とかあった?」

「えっ?」


何のこと?って思ったけど、すぐにお母さんから言われた言葉が頭をよぎった。


「あ、別に今日は他に何もないんだけど……」


そんな目一杯のオシャレをしたつもりもない。
だけど、目の前の前原くんはTシャツというラフな格好。


やっぱり気合い入れすぎ?
浮いて見えちゃってるのかな……。

急に不安になってきて俯き気味になりつつも、前原くんの反応を確認するようにチラリと視線を向けた。すると、