毎朝、クラスの誰よりも早く登校してきているのに、前原くんが教室にいない理由。
それは、図書室にいたから。
やっぱり、教室にいるといじめられるからかな……。
心の片隅で思いながらも、口には出さない。
とても静かで穏やかな朝を、私の発言で壊すのは嫌だったし、それに……嬉しかったから。
普段、朝は入室出来ないはずの図書室。
まるで前原くんのひみつ基地を教えてもらったみたいで、嬉しかった。
そんな場所を“逃げ場”と言ってしまうのは、嫌だった。
……でも、前原くんってこんな朝から勉強しなくても、頭良くなかったっけ?
勝手なイメージもあるかもしれない。だけど私の記憶が正しければ、確か学年で1位2位を争うほど、優秀だった気がする。
学校指定のカバンの中から、筆箱やノートなど、これから使うであろう勉強道具を取り出す前原くん。
「……えっ!?」
その中のひとつ、問題集に書かれた文字を見て、私は思わず声を上げた。



