今しかないと思って、足を前に進めようとした。なのに……。
──あ、あれ?
ピタッと地面にくっついたみたいに、動かない足。
自分で自分の足元を見てみれば、小刻みに震えていた。
また、無視されちゃったらどうしよう。
そもそも、嫌われちゃったかもしれない私なんかが声をかけて、前原くんは迷惑じゃないの……?
予想もしていなかった唐突な巡り合わせに、心の準備が出来ていなかったせいか、怖いと思った。
だけど、怖いけど……ここで声をかけなかったら、絶対ものすごく後悔する。
私は手にしていたスマホを一旦、カバンのポケットに忍ばせて。
大きく息を吸い込むと、震える足を無理矢理前へと動かした。
どんどん縮まっていく距離に、前原くんは気付いていない。
このまま目も合わなかったらと、少し不安に思ったとき。
誰かが近づいてきた気配に気付いた様子で、こっちに顔を向けた前原くん。
その瞬間、私と目と目が合って……。



