思い出すのは、前原くんの笑顔。 日直のとき、初めて笑いかけてくれて……隠された教科書を渡したときも、「ありがとう」って微笑んでくれた。 少し近付けた気がして、すごくすごく嬉しかったのに……。 たった一度、無視されてしまっただけ。 それなのに、泣いてしまうほど悲しくて辛い理由は、もう分かってしまっている。 入学式、声をかけてくれたあのときから、ずっと気になる存在ではあったけど…… 私、前原くんのこと……好きなんだ。