「あ、もしかして……だから田澤のことが好きだったりすんの?」

「え?」


考えごとをしていた矢先。思ってもみなかった発言に、私は目を丸くした。

それに対してニヤニヤと、何か企むかのように笑う朱里。

誤解されてる……っていうか、何を考えているかは、簡単に予想がついた。


「ちょっと、梨花ー!」


ビックニュースとばかりに、梨花の元へと駆けてゆく朱里。

何を言ったって無駄なのは分かってしまっていて、私はその場で小さくため息をついた。


ユウに似ているから、田澤くんのことが好きなんじゃなくて、私が考えていたのは真逆。

だからあのマンガにそれほど魅力を感じなくなってしまったのかもしれない……と、いうこと。


だって、苦手になっていた。

人気者で常に人に囲まれていて、不満とか大きな悩みとかなさそうなのに、いじめられている前原くんを見て、ただ笑っているだけの田澤くんが……。