世の中、不公平だ。
「なんで何もしてない前原くんが、あんな嫌な思いしなきゃいけないの……」
誰に向けたわけでもない。
倒れるようにベッドに横たわり呟いた言葉が、ひとりきりの部屋に響く。
前原くんがいじめられる姿を思い出せば、きゅっと胸が苦しくなる。
ついこの前までは、何事もなく穏やかに過ごせていたはずなのに。どうしていきなり……。
どれだけ考えたって、答えが見つかるはずもなく。
だけど、彼のことが頭の中から離れることもなくて、そっと目を閉じ片腕をまぶたの上に乗せた。
明日になったら元通り。
突然いじめが始まったように、突然終わっていればいいのにと願ったけれど、現実はそれほど甘くはない。



