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「みーゆ!」


国語の授業が終わってすぐ。ポンッと軽く頭を叩かれた感触に顔を上げると、朱里が立っていた。


「ほらこれ、この前の続き」


そう言って朱里が差し出してきたのは、1冊の少女マンガ。以前借りたものの続刊だと、ひと目で分かった。


「あっ、ありがとう!」


「気になってたんだー」と、私がそれを受け取っていると、


「またマンガぁ?」


少し呆れたような声がして、現れたのは梨花。


「めっちゃいい話なんだって!キュンキュンするし!」


朱里の説明に、こくこくと頷いてみせる。すると梨花は「えー……」と、半信半疑といった声を上げながらも、


「じゃあ、読んでみようかな……」


私が手にしたコミックを覗き込みながら言った。


「何だかんだで気になってたんじゃん」

「べ、別に!」


ニヤニヤと笑う朱里に、少し恥ずかしそうに頬を赤く染める梨花。


「どうでもいいけど、次の授業移動でしょ。早く行こう」


話を紛らわすかのように言った梨花の言葉に、私は苦笑しながら頷いた。