それは、簡単に言えばフられてしまったも当然。

話を聞いたふたりは「えー」と、声を上げた。


だから私は別に、田澤くんのことは何とも思ってないんだってば……。

実際そう声に出したかったけど、今言ったところできっと聞き入れてくれない。

何となくそう感じたから、私は開きかけた口を閉じた。


それにしても……まさか田澤くんに謝られるとは思わなかったな。

チラッと目を向ければ、田澤くんは既にクラスメートの輪の中にいて、さっきの仏頂面が嘘のように、友達とふざけ合って笑顔を振りまいている。


いつもクラスの中心にいる人だから、私みたいな冴えない女子の気持ちなんて、考えない人だと勝手に思っていた。だから、ちょっと苦手だった。

でも、違うのかな。
実際は優しい人、なのかな……。

さっきの前原くんとのやり取りを見て、『もしかして』なんて思ったけど、やっぱり私の考えすぎだったのかもしれない。


思いがけない彼からの謝罪に、私の心配は消えかけていた。

だけど……クラスの日常が突如変わったのは、それからすぐのことだった。