「とりあえず中、入ろうか。寒いよね」
手を口元にあて、顔を隠すようにそう言って、図書館の中へ入ろうとする前原くん。
照れてる……?
前原くんの反応に、嬉しいけれど何だか更に恥ずかしい気持ちになって。
「うん……あっ、でも!」
私は前原くんの制服の袖を、咄嗟に掴んで止めた。
『ありがとう』も『ごめんね』も、『おめでとう』も……言いたいことは沢山ある。
だけどまず最初に伝えたかったこと。
「なに?」
「あの……」
あのね、私ね……。
ぽかぽか、手のひらの中のカイロのように、私の心をあたためてくれたのは、いつだって君だった。
「私ね、前原くんのことが大好き!」
end



