「カイロ……?」

「うん、待たせちゃって寒かったでしょ。さっきも震えてたから。やっぱり寒がりなんだね」


クスッと苦笑して言われた言葉に、カイロを受け取りながら目をパチパチさせる。


……そうだ、あのときのこと。

中学の入学式のときから、誤解されたままなんだ!


「だから、あれはねっ……」


『寒かったんじゃなくて』と、慌てて説明しようとしたそのとき、


「あっ……!」


小学生くらいの男の子ふたりが走ってきて、前原くんはぶつかりそうになった私を庇うように体を引き寄せた。


「っ……」


前原くんのおかげで衝突は避けれた……けど、思いがけず密着した体にドキッとして、


「大丈夫?」

「えっ? あっ、うん……」


心配してかけてくれた言葉に頷く私の顔は、鏡を見なくても真っ赤だとわかる。

そして、


「あ……ごめんっ」


少し慌てた様子で離された体。
前原くんの顔を見ると、私と同じ。

耳まで赤く染まっていた。