「そんなことないよ……」
何もすごいことなんかない。
だって、私もそうだった。
自分がもしいじめられたらって考えると、怖くて何も出来なかったから。
でも……。
「でも、ありがとう」
私は照れくさくて、はにかんだ笑顔を返した。
怖くて怖くて仕方なくて。
それでも頑張って振り絞った勇気。
それを認めてくれる人がいることが嬉しかった。
そして、
「あの……良かったら、友達になってもらってもいいかな?」
少し緊張した面持ちで申し出てくれた内容に、
「もちろん!」
私は大きく頷いた。
前原くんの一件で、私のことを嫌い、煙たがっている人がいることも確か。
でも逆に好意を持って、友達になってくれる人もいたんだ──。



