それから、それこそ遅刻ギリギリ。

前原くんをいじめていた張本人の男子達も登校してきたけど、私の姿を見て気まずいといった顔をしただけで、直接何かを言ったり、したりしてくることはなかった。


強いて言えば、渡辺さんやその友達たちに冷たい目で見られたり、小さないじわるをされることはあった。

だけど、気付くと朱里や梨花が庇ってくれたし、それに……。




「望月さん、一緒にいい?」


体育の授業で、バレーのグループを作ることになったとき。

私に声をかけて来てくれたのは、今まであまり話したことのなかった女子だった。


「わたしね、望月さんのこと見なおしたっていうか、カッコイイなって思ったんだ……」

「え?」

「前原くんのこと。最近ちょっとやりすぎだと思ってたから……」


こっそりとそう話してくれたのは、私達のグループが審判で、他のグループの試合中。


「小学生のとき、わたしいじめられてたことがあって……。だから、見てるのもすっごく嫌だったんだけど、もしまた自分がって考えたら、何も出来なくて……」


「だからね、望月さんのこと本当にすごいと思って」と、その子は私のことを褒めてくれた。