「……え」
まさか私がそんなにあっさりと認めるなんて、思わなかったんだと思う。
渡辺さんは目を丸くして、とても驚いた顔をした。そして、
「……ほら、やっぱり」
何だかバツの悪そうな顔をして言うと、逃げるかのように教室を出て行った。
「何じゃそりゃ……」
残された私達。朱里は拍子抜けしたといった感じでつぶやく。
「言い返す言葉が見つからなかったんじゃない?」
言いながら梨花もまた、自分の席に腰を下ろし、
「まぁいいじゃん……。他に何か、言いたいことある人いる?」
視線を向けた先は、ヒソヒソと話していたクラスメート達。
すると、梨花の剣幕にみんなドキッとした様子で、私達から目を逸らした。
そんな光景に、私は思わず苦笑する。
ふたりのおかげで日常は、思っていたよりも早く戻ってきそうで……。



