「何で!?」

「田澤くんも部活で急ぐからって……」

「え。じゃあ実優がひとりで書いたの?」

「ううん、前原くんが手伝ってくれることになって」


机の上に両手をついて身を乗り出した梨花は、そこまで言ったところで「へぇ……」と、あまり面白くなさそうな声を上げた。そして、


「何かごめんね。実優のためにと思ったんだけど……面倒なこと、ただ押しつけちゃっただけになっちゃったね」


とても申し訳なさそうに謝られた。

その反応は少し心外で、私は一瞬きょとんとしたけど、すぐに首を横に振る。


だって、前原くんと一緒に日誌を書いたことは、“ただ面倒なこと”ではなかったから。


「結構……楽しかったよ」

「え?」


私はが言うと、ふたりは目を丸くした。


「あんまり喋らない人なのかと思ってたけど、そんなことなかったし」


どっちかと言うと、喋れなかったのは私の方。そんな私に、前原くんは自分から話しかけてきてくれた。

……まぁ、その内容は少しびっくりするものではあったけど。