「実優っ!」
私の顔を見るなり、いきなり飛び出して抱きついてきたのは梨花。
「もう何でケータイの電源切ってるわけ⁉︎ LINEも電話も繋がんないしっ……」
言いながら梨花は、ひっくひっくとしゃくり上げて鳴いていて。そして、
「心配したんだよ」
付け足すみたいに言った朱里も、梨花のすぐ後ろで涙ぐんでいた。
「え……」
思いがけないふたりの様子に、私は戸惑わずにはいられない。
何でふたりが泣いているの……?
「ふたりは……私のこと、嫌いになったりしてないの……?」
「はぁ? 何で嫌いになんのよ。……ていうか、こっちが嫌われたと思って心配して……」
泣きながら返事して、ぎゅうっと抱きついた力を更に込める梨花。
「ごめんね。実優の気持ち、わかってあげられなくてごめんね……」
私の肩にそっと触れて、朱里がそう謝ってくれて。
「──っ……」
私はやっと、ふたりが自分のためにここまで来てくれたことを理解した。



