もし……もしも朱里と梨花に無視でもされたら、私は本当にひとりになってしまう。


みんなの前で「やめて」と叫び、前原くんを擁護した私。

学校に行ったとして想像する光景は、ひとりぼっち。

誰にも話しかけられず、でもこっちを見てひそひそと話す声が今にも聞こえそうな気がした。


あのときの自分の行動を後悔しているわけじゃない。

最後に前原くんが笑ってくれたから良かったと思うし、私自身今までのどんな自分よりも好きだと思った。


でも……いざひとりになると思うと、臆病になってしまって。

不安で、怖くて、一歩も前に進めない。



「っ……」


結局スマホに触れることもなく、私はまたベッドに倒れ込んだ。


呆れるほど弱い自分が本当に嫌になる。


でも、朱里と梨花に嫌われた現実を見たくない。

ひとりぼっちになりたくない。


正直な思いは溢れ出して、ごまかすことなんか出来なくて。


「前原くんっ……」


せめて前原くんがいてくれたらいいのに。

どうして転校なんてしちゃうの……。

会いたくて……でももう会えなくて。

私は誰にも傷つけられることのない自分の部屋の中、ぎゅうっと枕を抱きしめた。