それから少しして、担任の先生が呼びに来た。

教室での話を軽く説明してもらい、望月さんは保健室に残ったまま、自分だけが先生と教室へ戻ることになった。


──こんなの、別に望んでなんかいないけど。

そう思いながらも教壇に立たされ、クラスメートからの謝罪の言葉を受ける。


でも、それは本当にカタチだけ。

先生に言われたから謝っているだけで、後悔する気持ちなんか彼らにないのは、目を見ればすぐにわかった。


だけど、そんなことを今さら追及しようとも思わない。

なぜなら自分は明日にはこの学校はおろか、この町からもいなくなるんだから。


今さら打ち解けようなんて、とてもじゃないけど思わない。


ただ……。



『じゃあ、ふたりとも教室に……』


保健室で先生がそう口を開いた瞬間。

望月さんの表情は、灯りを消したように暗くなった。

それを察したのか先生は、望月さんをひとり保健室に残したわけなんだけど……。


そう……そうなんだ。


望月さんはこれからも、この場所で過ごしていかなきゃならないんだ……。