「だからもう泣かないで」と、言葉を続けるけど、
「うっ……」
顔を見た望月さんの目からは、涙がいっそう溢れ出す。
それを見て、自分の頬にも涙が一滴つたい落ちた。
こんな弱い人間で申し訳なく思う。
みんなの前で声を上げてくれたとき、どれほどの勇気が必要だったんだろうと考えると、胸の奥が苦しくなる。
だけど、今伝えたい言葉はひとつだけ。それは、
「ありがとう……」
ごめんよりも、感謝の気持ち。だって、
「望月さんは気付いてないと思うけど、何度も助けてもらったんだよ」
はじまりはあの入学式の日。
あの日から、数え切れないほど望月さんの優しさに助けられた。
いじめだって、何だかんだ言って我慢出来ていたのは、望月さんの存在があったから。
望月さんがいてくれたから、ひとりじゃなかったから、今日まで黙って学校に来れていた。
それに……。
「将来の夢も、望月さんのおかげで見つかったんだ」
「夢……?」
「うん、教師になれたらいいなって」
今まで上の学校を目指していたのは、両親のためとか、見栄だった。
自分の将来なんて考えたこともなかった。
そんな自分に夢を与えてくれたのは、望月さん。



