「ケガの方は? 大丈夫?」
「はい。検査の結果、異常もなかったんで」
保健室の先生との会話の途中。
「良かった……」
今にも泣き出しそうなか細い声で、安堵の言葉を漏らしたのは……望月さん。
キョトンとした保健室の先生に、
「あっ……」
望月さんは恥ずかしそうにうつむいて、口をつぐんだ。
その姿に先生は、何か気付いたようにフッと笑顔を浮かべる。そして、
「あー……先生職員室に行かなきゃならないんだった」
かなりわざとらしい発言。でも、
「ちょっと行ってくるから、何かあったらここの電話で呼び出してくれる?」
少しお節介じみた気遣いは、正直すごく有難かった。
なぜなら、自分が学校に戻ってきたのは望月さんと話をするためだったから。



