その胸ぐらを掴んでいたのは……前原くん。


「望月さんに近寄んな」


ギッと鋭く睨みつける前原くんに、男子は少し怯んだように顔を青くする。だけどすぐに、


「は……調子乗んなよ!!」


男子は前原くんのお腹を蹴り上げて、前原くんは後方に倒れた。


「っ……」


お腹に手を当て、痛みに顔を歪めながらも、男子を睨みつける前原くん。


「なに?お前やんの?」


ニヤニヤと笑う男子の後ろには、いつの間にか他の男子も立っていて……その更に後ろに冷めた目で、前原くんを見下ろす田澤くんの姿があった。


だ、だめ……このままじゃ。
前原くん怪我してるのに!

そうこうしている間にも、額の方からは血が流れていて、床には擦れた血の跡。

これ以上はダメだと、前原くんの前へと飛び出そうとしたときだった。